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省エネ機器導入事例-鳥取県

導入事例 鳥取県倉吉市教育委員会

通学支援と防災機能の両立による
地域強靭化の取り組み

鳥取県倉吉市では、株式会社ジャパンガスエナジー(以下、JGE)が提案した企業版ふるさと納税と補助金を活用したプロジェクトにより、LPガス対応スクールバスと災害対応型のLPガスタンク(以下、災害バルク)を導入しました。これにより学校統廃合による遠方児童の通学支援と地域防災力向上を同時に実現し、平時の教育環境整備と非常時の地域強靭化を両立させる官民連携の先進事例として注目されています。

本取組みで導⼊したLPガス対応⾞は、10⼈乗りのトヨタハイエース。ガソリンより燃料費が安く、CO₂排出量が少ないLPガス対応⾞であることから、環境への貢献も期待されています。

補助金を活用し、小鴨小学校に設置された災害対応バルク・簡易オートガススタンド。

本取組みを実施した倉吉市教育委員会にて、お話を伺いました。

LPガス対応スクールバスの導入は、安全確保のための児童通学支援とともに物資輸送の円滑化を実現しています。さらに、燃料費削減やCO₂排出量の抑制など、環境面でのメリットも生み出せる好事例となりました。
また、災害バルクによるエネルギー(LPガス)の備蓄が可能となり、避難所としての機能向上も図ることができました。

スクールバス運行で遠方児童の通学を支援

久⽶⼩学校は学校統合を控えた時期で、遠⽅児童の通学問題に際し、スクールバス使⽤が検討されていました。そんな中、倉吉市に対して、JGEから本プロジェクトの提案があり、実施に至りました。
現在、久⽶⼩学校では10名の⽣徒の通学⽀援のため、⽇の丸ハイヤー(株)に運営を委託し、1⽇あたり朝⼣各1便、約70kmを運⾏中です。

スクールバスを利用

倉吉市立久米小学校 教頭 前田さま

スクールバスで通えることとなった、高城地区の子どもたちは大変喜んでいると聞いています。安心して学校へ通わせることができるため、保護者も喜んでおられます。

スクールバスを委託運営

日の丸ハイヤー株式会社 松下さま、東さま

LPガス対応車は、日産のユニバーサルデザインタクシーと同様に、エンジン音が静かで振動も少なく、乗り心地がよいと感じています。車への充填にはコツがいりますが、慣れてきました。

通学支援が行われている久米小学校。バス停は通学児童の集まりやすい場所に設置されています。
高城地区に住む児童10名の毎日の通学を支援。乗り心地も評判が良いそうです。

LPガス供給を通じて地域強靭化に貢献

小鴨小学校には災害バルクと簡易オートガススタンドが設置され、非常時にはLPガスを供給し炊き出しや非常用発電機等に活用します。小鴨小学校の隣には地域コミュニケーションセンターがあり、災害時は地域住民の自主防災組織と協力することも可能です。
今後、非常時訓練の実施も検討されています。

LPガスを供給

山陰酸素工業株式会社 支店長 田邊さま

JGEさまよりご提案いただき、寄附よりも運営面でお手伝いしようと決めました。2ヵ月に1度、当社社員が設備目視点検及び残量確認を行い、年間充填回数は2~3回程度です。日の丸ハイヤーさまへは充填方法を3~4回にわたり指導しました。
現在は、市へ訓練実施を働きかけているところです。その際は、炊き出し用の食材の寄附等を行いたいと伝えています。

スクールバスは約10日に一度、簡易オートガススタンドでLPガスの充填を行います。
小鴨小学校は、他の小学校より新しく指定避難所として規模が大きいため、本取組みの設置場所として選ばれました。

通学支援と地域防災力の向上を両立

LPガス対応スクールバスは、平時は久米小学校の遠方通学児童の送迎に活用されます。一方で、非常時には東日本大震災で活躍したLPGタクシーの例を参考に、物資輸送等にも使用するため、送迎時以外は市役所の防災倉庫前に駐車し、非常時にはいつでも出動できる体制を整えています。
災害時に強いLPガスの特性を活かし、通学支援と地域防災力の向上を同時に実現する画期的な取組となりました。

地域強靭化の取組みを実施

倉吉市教育委員会 事務局次長 兼
学校教育課長 矢田さま

災害時に備えるための施設・車両ではありますが、通常時もスクールバスとして使用でき、安心・安全に児童が通学できています。また、寄附金と補助金で全て賄うことができた点については、寄附者の皆様に深く感謝しています。LPガスについては、化石エネルギーの中でも天然ガスとともにCO₂排出量が少なく、燃焼時の排出ガスもクリーンなエネルギーとのこと。そういった面においても、市内小中学校等において防災学習であるとか環境学習にもつなげることができるのではないかと期待しています。

倉吉市の災害備蓄倉庫。非常時は市職員がスクールバスを運転し、ここから水などの緊急救援物資を輸送します。
小鴨小学校の避難所設備(非常用発電機・炊き出しセット等)。
簡易オートガススタンド設備に掲げられている寄附顕彰。ふるさと納税を使った導入事例は国内では初めてです。

<<事例概要>>

導入機器
  • 災害バルク
  • 簡易オートガススタンド(ポータブルLPガス発電機/炊き出しセット等)
  • LPガス対応車1台(トヨタハイエースバン10人乗り)
設置場所 災害バルク・簡易オートガススタンド:小鴨小学校
LPガス対応車:倉吉市役所常駐/久米小学校スクールバスとして使用
経緯
  • 2023年1月~2月:企業版ふるさと納税の取りまとめを行う㈱JTBと㈱山陰合同銀行を介し、㈱JGEから本プロジェクトを提案
  • 2023年4月~11月:倉吉市は関係者との調整を進め、事業の実施が承認。災害対応バルク補助金の受理が決定し、入札実施
  • 2023年12月~2024年9月:山陰酸素工業㈱及び中海工業㈱を中心にLPガススタンド着工、9月(2学期)よりLPガススクールバスが運行開始
費用 オートガススタンド設置:25,740,000円
LPガス対応車:5,020,000円
財源
  • 企業版ふるさと納税寄附金:22,661,000円
    寄附とりまとめ事業者:㈱JTB、㈱山陰合同銀行
  • 補助金:8,099,000円(令和5年度災害バルク補助金)
    寄附企業:㈱ジャパンガスエナジー他6社、計7社